マット・リドレー イノベーションのジレンマ
こんにちは、きゅーです。
マット・リドレー著、イノベーションのジレンマを読みました。
ここ数年イノベーションというワードをよく目にするようになりました。
次のイノベーションは、とか、自社でイノベーションを起こす、とか、イノベーションの起こし方、とか。
確かにイノベーションを起こすぞ!という姿勢や言葉は次の時代を拓かんとする高揚感からか、心地の良いものとして受け止めてしまいます。
しかし一歩引いてみてみると、イノベーションとはいったい何なのだろうか、どうやって起こるのか、どういった類の人が起こすのか、ということが気になり、とてもあいまいな言葉だと思いませんか?
世間で語られるイノベーションという言葉ですが、その本質に迫った一冊なのではないでしょうか。
本書ではこれまでの歴史のなかで劇的に人々の生活を変えてきたイノベーションの事例をもとに、そこに共通する条件からイノベーションとは何か、どのような条件下でどういった人が起こすのかを解説しています。
私個人としては自分がイノベーションに対して抱いていたイメージとは違った内容がイノベーションにまつわる話として描かれており、なるほどそういった見方もあるのかと刺激になりました。
イノベーションといえば?と聞かれれば直近ではGoogleやIPhone、コンピューターがぱっと思い浮かびます。古くからさかのぼれば、人々に夜の暮らしを提供するようになった電球や、移動を劇的に変えた鉄道など、今の人々の暮らしに欠かせない多くのものがイノベーションによって生み出されています。
(こう見てみると、今の自分の生活も連綿とした歴史に地続きで存在しているということを実感します。)
「イノベーション」といわれたときに、GoogleやAppleといった企業のトップだったラリー・ペイジやスティーブ・ジョブスなど、特定のとても秀でた個人(とその企業)が多くの人の頭に浮かぶのかなと思います。
私も本書を読む前はそうでした。
しかしながら、イノベーションに必要な要素として筆者は別の条件を掲げます。
世の中でのある種の常識として自分が考えてしまっていたものが覆されることは読書の醍醐味であり、本書もそれを楽しませてくれる本でした。
また、昨今の政治や経済の流れがイノベーションに与える負の影響についても言及しており、これもまた現在の流れがある一面においては必ずしも正解であるとは言えないという指摘で痛快でした。
「イノベーション」という言葉に対してただ受け身になるのではなく、その正体が何なのか理解したい方にはおすすめできる本だと思います。